子供のいびき
子供が夜中に「いびき」をかく。そのとき口が開いて口呼吸になっていませんか?大人ではめずらしいことではないけれど、子供の睡眠においていびきと口呼吸は「異常」ととらえていいと思います。いびきは狭い咽頭を空気が通過する際に揺れて音が出ています。小児の睡眠時無呼吸を起こしている可能性が高く、眠りの質が低下しており、昼間にイライラしたり、ボーっとしたりパフォーマンスが低下して、勉強についていけなくなったりします。
また口呼吸は、日中の食事中に鼻呼吸しづらいので噛む回数が減ります。麺類を好んで食べませんか?お肉をしがんで食べるのが苦手ではありませんか?噛む回数が減ると顎の発育が悪くなります。小顎ですね。小さな顎は、歯並びが悪くなり歯列矯正をしても改善しづらくなります。そのため歯並びの矯正をされる歯科の先生から当院へもよく紹介頂きます。さらに小さな顎になると鼻腔の横幅がせまくなり更なる鼻づまりになり、鼻づまり→小さな顎→さらに鼻づまり・・・のように悪循環になるのです。
多くの原因は3つあります。
1つは鼻炎。風邪をひいて急性鼻炎になっているときや、花粉症などアレルギー性鼻炎になって、鼻の中の粘膜が腫れてしまう。
2つ目はアデノイド増殖症。咽頭の最も上部で鼻とのつながり部分をアデノイド、日本語では咽頭扁桃と言われている部分で、炎症によって大きくなります。アデノイド顔貌といわれ口が開いた姿が特徴的です。
3つ目は口蓋扁桃肥大。こちらも扁桃炎などの炎症を繰り返すことでサイズが大きくなり鼻呼吸が障害されます。
これらによって鼻呼吸障害となり口呼吸が導かれます。子供は鼻呼吸ができないだけでも睡眠時無呼吸になってしまうところが大人の睡眠時無呼吸との病態の違いです。(大人は鼻づまりが治っても無呼吸は治りにくいですが、子供はかなりの確率で改善します)
これまで、主な治療はアデノイドや扁桃の手術でしたが、最近はアレルギー性鼻炎でアデノイドや口蓋扁桃が肥大することが報告されており、アレルギーのくすりが奏功することがあります。アデノイドや扁桃の手術を行う前に、3か月程度くすりを使用し改善する症例があり、手術せずにすむ症例があることもわかってきました。くすりで治りが悪ければ、手術で治療する選択肢が候補に上がります。
(睡眠時無呼吸と睡眠時無呼吸症候群と無呼吸と言葉がむつかしいでしょうか?ほぼ同じ意味で使っていると思います)