睡眠によるワクチン効果への影響
過去3年間インフルエンザワクチンの接種を受けていない、普段の睡眠時間が8時間の健康な若い男性25名(平均年齢23歳)を対象として、睡眠時間とワクチン接種による抗体増加の関係を調べた。
睡眠不足の状態でワクチンを接種するグループ11名は,4時間睡眠の睡眠不足状態を6日間続け、その後の7日間は1日12時間睡眠に延長。比較する通常睡眠のグループは普段どおりの8時間睡眠を継続。いずれのグループも4日目の朝にインフルエンザワクチンを接種した。ワクチン接種から10日後、睡眠不足グループの平均抗体価は、通常睡眠時間のグループの半分以下であった。
睡眠不足時にワクチンを接種した場合、接種後に睡眠時間を増やしたとしても、睡眠が足りている状態で接種した場合と比べて抗体価が上がらないというこの結果は、慢性的に睡眠不足の人はワクチンの効果が低くなる可能性があり、最適な免疫獲得のためには十分な睡眠が必要だと考えられる。
忙しく過ごす日常が当たり前になってしまわずに、何とか睡眠時間を確保していただきたい。すこしでも睡眠の量を増やすきっかけになればと掲載させていただきました。大岡医院からのお願いです。
参考文献:Effect of sleep deprivation on response to immunization
Karine Spiegel, et al. JAMA 2002 Sep 25;288(12):1471-2 より改変